オートファジーによる膜分解メカニズムを解明 30年間停滞していた研究が進展し脂質分解や代謝の理解に貢献
要点 オートファジーによる膜脂質の分解酵素の実体が、リン脂質を加水分解するホスホリパーゼBタイプのリパーゼAtg15であることを発見。 リン脂質の分解を評価できる生化学的な手法を確立し、オートファジー発見以来の謎であった膜脂質の分解メカニズムを解明。 オートファジーによる脂質分解や代謝の理解を飛躍的に高め、がんやリソソーム病、脂質異常症などの疾患の研究に役立つ成果として期待。 概要 東京工業大学...
View Articleセルロースナノファイバーを用いた新しいエクソソーム捕捉ツール「EVシート」を開発 生体内におけるエクソソームの空間解析とがん医療応用に期待
要点 全く新しい手法でエクソソーム[用語1]を捕捉かつ保存する革新的ツール「EVシート」を開発 木材由来の新素材セルロースナノファイバー[用語2]によるがん医療応用の可能性を示唆 臓器に直接貼り付けてエクソソームを回収することで、生体内における空間解析を実現 エクソソームの新しい特性が明らかになり治療戦略開発に期待 概要 東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系の安井隆雄教授、名古屋大学...
View Articleリュウグウ起源天体の水循環が作り出すクロム同位体不均質 小惑星帰還試料の同位体分析における重要な指針を提示
要点 「リュウグウ」から採取した岩石試料に、クロム同位体組成の局所的な不均質が存在。 不均質の原因は、太陽系形成から約520万年後にリュウグウ母天体で生じた水質変成に伴う水循環と二次鉱物の沈殿と推察。 小惑星の本来の同位体組成を知るには、一定量の均質試料の分析が必要。 概要 東京工業大学 理学院 地球惑星科学系の横山哲也教授、東京大学 大学院理学系研究科の飯塚毅准教授と橘省吾教授、北海道大学...
View Articleヒメツリガネゴケの葉が内側から外側へ向かって展開する仕組みの発見 ヒメツリガネゴケのクチクラは、体を守るだけでなく細胞の形作りにも必要だった
要点 クチクラは、植物の表面に光沢を与えている疎水性の膜で、陸上植物の表面に形成されて、風雨、乾燥、病原菌などの陸上環境の様々なストレスから体を守っています。また植物のクチクラを構成する分子は、組織や器官の成長に伴って細胞外に供給される必要がありますが、そのしくみは詳しくわかっていませんでした。...
View Article光合成微生物が形成するバイオフィルムの成分の非標識・超解像での可視化に成功
要点 超解像赤外分光イメージングにより、藍藻バイオフィルムの構成成分を非標識で可視化した。 バイオフィルムを主に構成する硫酸多糖成分に沿って藍藻が配列している様子を世界で初めて明らかにした。 硫酸多糖だけでなく、他の多糖成分やタンパク質も共在し、バイオフィルムを構成していることを示唆した。 概要 東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の前田海成助教、田中寛教授、徳島大学...
View Article細胞内で分子カプセルとサイコロ状タンパク質結晶を融合 タンパク質カプセルを表層に集積した複合結晶の迅速合成
要点 サイコロ状とカプセル状という全く異なる形状と性質を持つタンパク質集合体を、1つの細胞の中で個別に同時合成することに成功。 合成した集合体の複合結晶を細胞内で自発的に合成し、製造プロセスの大幅な簡素化を実現。 薬物輸送材料やワクチン、生体センサーなど、新たな生体固体材料への応用に期待。 概要 東京工業大学 生命理工学院...
View Article超高速イオン伝導と高安定性を示す低環境負荷材料を創製し、新しい伝導機構を解明 新イオン伝導体・燃料電池・センサー等の開発を加速
要点 従来の材料より175倍高い酸化物イオン(O2−)伝導度を持つBa7Nb3.8Mo1.2O20.1を創製 新材料は高いプロトン(H+)伝導度、高い安定性、希土類や鉛を含まないこと、低い焼結温度という低環境負荷といった特徴も持つ バケツリレー型超高速酸化物イオン伝導などの、新しいイオン伝導機構を解明 概要 東京工業大学 理学院...
View Article中低温域で世界最高のプロトン伝導性を示す新規酸化物を発見 低温域で高性能な燃料電池につながる新たな材料設計戦略
要点 新たな材料設計戦略により、空白だった中低温域で世界最高のプロトン伝導度を示す新物質を発見。 活性化エネルギーの低さや三次元でのプロトン拡散といった、新物質の高いプロトン伝導度の要因を解明。 低温域で高性能なプロトン伝導性燃料電池(PCFC)などの開発につながると期待。 概要 東京工業大学 理学院...
View Article新規な「Magic door」機構によるCO2の選択的捕捉 カーボンニュートラル社会の実現へ向け革新的MOF素材を創出
要点 従来の吸着機構とは全く異なる「Magic door」機構によるCO2の捕捉に成功。 CO2が通過する瞬間のみ生じるMOFフレームワークの構造変化現象を捉え、これに起因する活性障壁によりCO2選択性と物理吸着レベルの小さな脱離エネルギーを実現。 カーボンニュートラル社会の実現に向け必要な材料の一つであるCO2吸着材の開発において新たな可能性を提案。 概要 東京工業大学 理学院...
View Article北野政明教授がアジア太平洋地域の触媒学会APACS 2022年アワードで優秀研究者賞を受賞
東京工業大学 元素戦略MDX研究センターの北野政明教授が、アジア太平洋地域の触媒学会APACS(Asia Pacific Association of Catalysis Societies)の2022年優秀研究者賞を受賞しました。10月30日に表彰式が行われました。 表彰式で賞状を授与された北野教授(中央) 賞の名称 Outstanding Researcher Award(優秀研究者賞)...
View Article東工大関係者2人が令和5年秋の叙勲を受章
令和5年(2023年)秋の叙勲において、長年に渡る教育研究の功労に対し、東京工業大学の井上正篤名誉教授と瀧口克己名誉教授が瑞宝中綬章を受章しました。 井上正篤名誉教授 瑞宝中綬章 コメント 井上正篤名誉教授...
View Article陽子を含まない原子核の痕跡を原子炉で探す 原子核物理×放射化学の新手法で「0番元素」を探求
要点 中性子だけから構成される多中性子原子核の存在の実証研究が近年活発。 多中性子原子核の一種であるテトラニュートロンを原子炉で探索する手法を確立。 炉心内で中性子による放射化が起こりにくい試料の選定が鍵となった。 概要 東京工業大学 理学院 物理学系の藤岡宏之准教授と友松竜太郎学士課程4年(研究当時)、京都大学...
View Article人間活動による温暖化が東アジアの夏季前線性豪雨を激甚化 地球温暖化と前線性豪雨の強度の関係を初めて証明
要点 東アジアの夏の大雨をもたらす前線は、偶然性や自然変動に影響を受けるため、近年の激甚化が、人間活動による温暖化の影響なのかは明確ではなかった。 過去60年間に観測された東アジア地域の前線性豪雨の強度増加に、人間活動による温室効果ガス濃度増加の影響があることを、気候シミュレーションを活用して初めて証明した。...
View Article超塩基に匹敵する強塩基性を酸窒化物で実現 酸素空孔に隣接する窒素イオンが塩基性反応点として機能
要点 六方晶BaTiO3-xNyの化学組成・電子構造、触媒塩基性を解明 酸素空孔に捕捉された電子と隣接した窒素イオンが相互作用して、より電子密度が高く、エネルギー準位の高い窒素イオンが生成 超塩基に匹敵する高い塩基性と高い化学的・熱的安定性を示す 概要 東京工業大学 国際先駆研究機構...
View Article単一高分子の「自己折りたたみ」に基づく新規MRI造影剤を開発 がんの高精度MRI診断と中性子捕捉がん治療を同時に実施可能な基盤技術として期待
要点 単一高分子が「自己折りたたみ」する新技術を用い、現行の医療用MRI造影剤の7倍もの性能(緩和能)を持つナノ粒子を開発した。 新技術によって、がん集積性能、診断性能そして安全性を同時に向上させた。また、重金属の環境への排出を、大きく低減できる可能性がある。...
View Article日本精工株式会社と「NSKトライボロジー協働研究拠点」を設置
東京工業大学(以下、東工大)と日本精工株式会社(以下、NSK)は、「NSKトライボロジー協働研究拠点」を東工大すずかけ台キャンパスに設置しました。 (左)NSKの近江勇人執行役専務 / (右)東工大の益一哉学長...
View Article均一かつ均質な人工細胞を作るマイクロ流路システムを開発 細胞サイズの脂質膜小胞中でタンパク質合成を行う人工細胞製造法の標準化に前進
概要 中央大学 理工学部の鈴木宏明教授、理工学研究科の牛山涼太大学院生(研究当時)と南條哲至、津金麻実子共同研究員、佐藤玲子技術補佐員および東京工業大学 地球生命研究所(ELSI)の松浦友亮教授の研究グループは、マイクロ流体工学を基に、大きさが均一かつ均質な人工細胞[用語1]を製造する技術を開発しました。...
View Articleオートファゴソームを柔軟な網で覆うように形作る仕組み オートファジーを特異的に制御する薬剤開発に道
要点 オートファジーにおいて、細胞内の分解対象を包み込むための袋状の脂質膜(オートファゴソーム)がどのように形作られるかは分かっていなかった。 オートファゴソームが作られる際、Atg8とその修飾反応(脂質化反応)を担うE1-E2-E3酵素群が膜上で高次複合体を形成し、膜を嵌入(かんにゅう)して形を作ることを明らかにした。...
View Articleポストアレイデバイスでの液滴の分裂挙動を明らかに 均一なエマルション液滴の生成で医薬品開発への応用も期待
要点 ポストアレイデバイスによる液滴分裂には、2つの分裂モードが存在することを確認。 せん断モードで分裂した液滴直径は、有効キャピラリー数のべき乗に従うことが判明。 マイクロ流路での液滴生成の基礎研究と工業的な乳化技術をつなげる架け橋として期待。 概要 東京工業大学 科学技術創成研究院...
View Articleプログラム医療機器(SaMD)のイノベーションプロセスと産業システム構造を実証的に解明 医療デジタルトランスフォーメーションの現在と将来
要点 デジタルヘルスの中心的存在であるプログラム医療機器(SaMD)のイノベーションプロセスと産業システム構造を実証的に解明。 米国食品医薬品局(Food and Drug Administration, FDA)が承認した581のSaMDと、これらを提供する268のメーカーの企業プロファイルをもとに、使用別のSaMDの分布と、製品・サービスシステムにおける他の医療機器等との関係性を評価。...
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