東京工業大学と三菱電機株式会社(以下、三菱電機)は、4月14日に、大岡山キャンパスにて「三菱電機エネルギー&カーボンマネジメント協働研究拠点」設置に関する調印式を実施しました。
地球規模での温暖化やエネルギー危機が拡大する中、政府が2020年に発表した「2050年カーボンニュートラル」宣言、および2021年に発表した「2030年度の温室効果ガスの排出量46%削減(2013年度比)」を実現するために、「経済と環境の好循環の実現」に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)施策の推進が急務となっています。
東工大は、エネルギーの安全供給を見据えた「Tokyo Tech GXI」や、エネルギー研究を加速させることで環境性と経済性が両立する「アンビエントエネルギー社会」の実現を目指すなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを推進しています。
三菱電機は、サステナビリティの実現を経営の根幹に据え、事業を通じて解決すべき社会課題の1つとしてカーボンニュートラルの実現に取り組んでいます。特に、社会全体のカーボンニュートラルに向けては、「グリーン by エレクトロニクス」、「グリーン by デジタル」、「グリーン by サーキュラー」の3つのイノベーション領域での研究・開発を加速しています。
両者は、2004年から実施している組織連携活動の実績に加えて、研究開発を通じて得られた知見や製品開発力を互いに評価したことで、東京工業大学オープンイノベーション機構の支援のもと、今回の協働研究拠点の設置に至りました。
今回設置した協働研究拠点では、両者の強みを活かし、電力・熱・化学物質などのエネルギー・物質視点での環境価値取引を含むエネルギー&カーボンマネジメント、カーボンリサイクルなどのGX関連技術、および、未来価値洞察・技術トレンド分析による新技術の探索・創出活動に取り組んでいきます。さらに、人文社会科学系大学を含む他機関との連携を進め、技術起点にとどまらず多方面から未来社会を洞察し、バックキャストされた社会変化シナリオに沿った新しいビジネスモデルやライフサイクルを検討していきます。この結果に基づき、エネルギー面での制約を満たしつつ、経済的な負担を軽減して社会システムとして受容性と経済性が両立する仕組みを考察し、「人、経済、そして未来に優しいカーボンニュートラル社会の実現」を目指した研究開発に取り組んでいきます。
協働研究拠点の概要
名称
三菱電機エネルギー&カーボンマネジメント協働研究拠点
設置場所
東京都目黒区大岡山2-12-1
大岡山キャンパス 大岡山北2号館222号室
設置期間
2023年4月1日~2026年3月31日(予定)
研究題目
エネルギー&カーボンマネジメント、カーボンリサイクルなどに関する研究開発、および未来洞察・技術トレンド分析による新技術の探索・創出活動
研究体制
- 拠点長:加藤之貴(東京工業大学 科学技術創成研究院 教授・ゼロカーボンエネルギー研究所長)
- 副拠点長:田中博文(三菱電機 開発本部 技師長)
大友順一郎(東京工業大学 環境・社会理工学院 融合理工学系 教授)
(このほか、東工大と三菱電機双方からの研究員約20人規模で開始予定)
役割分担
三菱電機
担当内容
- 1. エネルギーデバイス、カーボンリサイクル技術の応用研究
- 2. 電力・熱・化学物質間の変換価値の可視化技術などの評価
- 3. 未来洞察・学術俯瞰分析活動における自社ビジョン、保有技術などとの親和性の検討
- 4. 協働研究拠点での新テーマ検討ならびに事業化検討
東京工業大学
担当内容
- 1. エネルギーデバイス、カーボンリサイクル技術の研究
- 2. 電力・熱・化学物質間の変換価値の可視化技術、取引技術、取引履歴の分散管理技術の研究
- 3. 協働研究拠点における研究進捗管理、未来洞察・学術俯瞰分析システムによる最新技術動向調査
- 4. 協働研究拠点での新テーマ検討協議、関連有識者の招聘協議の実施
今後の予定・将来展望
カーボンニュートラル社会の実現に向けた研究テーマを設定し、他機関との連携を進めて活動領域を拡充していきます。本協働研究拠点で得られた研究成果やビジネスモデルをもとに、エネルギー、カーボンリサイクルなどさまざまな分野での社会実装を目指した活動を推進し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。