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垂直視差は立体視のための両眼対応位置を補正する

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概要

両眼網膜像の水平方向の像の違い,すなわち両眼視差(両眼網膜像差)が三次元の知覚に寄与することはよく知られている。垂直視差もまた,垂直軸周りの面の傾き知覚に影響することが示されている。

垂直視差が視覚系のどの過程で処理され,面の傾き知覚に寄与しているかは明らかではない。垂直視差は,両眼像の対応を決定する過程,水平視差を補正する過程,あるいはその両過程で用いられている可能性がある。

光藤宏行・酒井 歩(九州大学)と金子寛彦(東京工業大学)は,垂直視差が両眼像の対応を決定する過程に寄与し,面の傾き知覚に影響していることを示した。
実験において,左右眼像のいずれかが垂直方向に拡大されたランダムドット,同心円状の線分,放射状の線分からなる画像,すなわち垂直視差が導入された立体視画像の面の傾き知覚が測定された。

結果より,上記3種の画像に対する面の傾き知覚は,局所的領域の水平視差が異なるのにも関わらずほぼ同様であった。
本実験の結果は,「視覚系が,両眼像対応を決定する過程において垂直視差を用いている」とする考えを支持するものである。

論文情報

著者:
光藤宏行・酒井 歩(九州大学),金子寛彦(東京工業大学)
論文タイトル:
Vertical size disparity and the correction of stereo correspondence.
掲載雑誌:
Perception 42, 385-400 (2013).
Digital Object Identifier (DOI):
10.1068/p7387
所属:
九州大学人間環境学研究院,東京工業大学物理情報システム専攻

実験で用いられた、垂直視差を持つ、同心円状(左) および放射状 (右) の刺激パターン。これらのパターンを観察した際の面の傾き知覚は、局所的領域の水平視差が異なるのにも関わらずほぼ同様であった。

本件に関するお問い合わせ先: 金子寛彦 (物理情報システム専攻)

その他の研究成果はこちら ⇒ 研究成果一覧


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