6月3日、材料科学研究の新たな拠点として、元素戦略研究センターの新棟(通称:元素キューブ)がすずかけ台キャンパスに開所しました。学内の材料研究体制の強化を図るとともに、国内外の研究機関や企業との連携を促進し、共同研究や実用化に向けたオープンでグローバルな研究拠点として機能を充実していきます。
元素戦略研究センター(センター長:細野秀雄応用セラミックス研究所教授)は文部科学省元素戦略プロジェクト※1の一環として2012年8月に設置され、「石ころ」や「セメント」のようなありふれた物質から人類に役立つ革新的な材料を生み出すことを目標として研究を行ってきました。センター長である細野教授はこれまでに液晶パネルや有機ELディスプレイの駆動に適したIGZO-TFTの提唱や、常識を覆した鉄系超電導体の発見など、数々の研究成果を生み出してきています。また、2013年10月には、科学技術振興機構(JST)の新プログラムACCEL※2の第一号課題に選定され、その「エレクトライドの物質科学と応用展開」では、電子化物の創製や、それを生かしたアンモニア合成触媒や電子材料の研究を行っています。
「元素キューブ」は地上5階地下1階、延床面積は4,515 m2です。1階は129名収容のレクチャーホールを備えオープンな交流の場を提供します。2階は企業や学外研究機関の研究者との共同研究を行うスペースとして用意されています。3階から5階は各階毎にセキュリティーが保持された学内研究者の研究室、実験室です。地下1階には透過型電子顕微鏡、電子線マイクロアナライザなど精度を要する実験のための特殊な設備を備えています。研究者、機器のエキスパート、学生を含めた人材が集結し、大学ならではのオープンな場としての利点を活かし、材料科学研究のさらなる発展と研究人材育成を図っていきます。
新棟概要
名称 |
東京工業大学元素戦略研究センター(通称:元素キューブ) |
---|---|
所在地 |
東京工業大学すずかけ台キャンパス内 |
住所 |
横浜市緑区長津田町4259 |
開設日 |
平成27年6月3日 |
建物 |
地上5階、地下1階 |
人員 |
約50名 |
延床面積 |
4,515 m2 |
- ※1
- 文部科学省 元素戦略プロジェクト(研究拠点形成型) :
レアアース等の希少元素の供給不足を契機に、希少元素を用いない全く新しい材料の開発を目指し、最先端の物理・化学理論を駆使して機能設計から部材試作までを一貫して実施するために開始されたプロジェクト。平成24年度からは卓越した代表研究者が若手研究者を結集した異分野共同研究拠点と研究ネットワークを形成する拠点形成型プロジェクトとして強化された。 - ※2
- 科学技術振興機構 ACCEL :
世界をリードする研究成果の技術的成立性の証明・提示と、適切な権利化を推進することで、企業やベンチャー、他事業などに研究開発の流れをつなげるためのプログラム。研究開発課題ごとにプロジェクトマネージャーが研究代表者と協力して、研究成果を最大限に生かした社会的・経済的価値創造に向けてのビジョン、具体的用途と技術的成立性の証明・提示を設定し、研究開発課題の提案からマネジメントまでを行う。