東京工業大学未来社会DESIGN機構(以下、DLab(ディーラボ))は「DLab Challenge Advanced 2023(ディーラボ・チャレンジ・アドバンスド)」(未来社会DESIGN 機構研究奨励支援金)による支援として2件、「DLab Challenge 2023(ディーラボ・チャレンジ)」による支援として1件、単年度試行支援として更に2件のテーマを採択し、4月6日に支援決定通知書授与式を開催しました。
DLab Challengeは、2020年度の創設以来、「未来社会像2020」として提示した“TRANSCHALLENGE(トランスチャレンジ)社会”や24の「未来シナリオ」の実現と、その実現に必要な新しい学術分野創出につながる研究を、最長3年間、研究費とポストドクター雇用経費で支援しています。申請条件は、2名以上のチームを編成し、2分野以上を横断するチームであることが望ましく、代表者(申請者)は本学に勤務する准教授、講師、助教です。本研究奨励金を通して、個々の研究者が未来社会と自身の研究のつながりを見出し、バックキャスト的な思考で研究を行うことで、社会への貢献を意識した研究活動を促進します。
さらに本年度より、未来社会像や未来シナリオの実現に正面から取り組む研究を対象としたDLab Challenge Advancedも開始しました。代表者として教授も対象となり、将来の研究拠点化や外部の大型資金プログラム獲得を目指すといった規模感のある研究を支援します。
採択された研究テーマと研究者/研究代表者のコメント
★印:研究代表者、無印:共同研究者、◇印:協力者(学外)
DLab Challenge Advanced
YOUTH SANCTUARY(ユース・サンクチュアリ):メタバース上での青年期自己発展支援連働プラットフォーム
- ★
- 赤羽早苗(リベラルアーツ研究教育院 准教授)
- ◇藤原武男(東京医科歯科大学 教授)
- ◇谷友香子(東京医科歯科大学 講師)
梅室博行 教授
本学には技術を創る研究者は数多くいますが、人のwell-being(ウェルビーイング)のためにはどんな技術を創ったら良いのか、どう創ったら良いのか、どう使ったら良いのかの実証的な研究はまだ少ないと思います。本提案が採択されたことは、convergence science 3.0(コンバージェンス・サイエンス)に向けての本学の、小さいけれども重要なステップであると考えます。アウトプットをきちんと出せるよう尽力して参ります。
いじめ問題の減少軽減に向けた文理融合的研究とその実装
- ★上田紀行(リベラルアーツ研究教育院 教授)
- 駒田陽子(リベラルアーツ研究教育院 教授)
- 田岡祐樹(環境・社会理工学院 融合理工学系 助教)
- 永岑光恵(リベラルアーツ研究教育院 教授)
- 室田真男(リベラルアーツ研究教育院 教授)
- 三宅美博(情報理工学院 情報工学系 教授)
- 柳瀬博一(リベラルアーツ研究教育院 教授)
- 弓山達也(リベラルアーツ研究教育院 教授)
上田紀行 教授
人類社会が抱える深刻な問題であるいじめの解決に向け、文系理系の枠を超えて取り組みます。いじめが起きる要因を多角的に精査し、教育現場、地域社会、仕事場、そして SNS やメタバースも含め、各所で生起しているいじめの検知、防止、改善のシステムを構築していきます。苦悩に向き合う科学技術の進化により、ひとりひとりの創造性と思いやりが発揮できる社会を作る。人類史の大きなチャレンジの気概を持って、前進したいと思います。
DLab Challenge
造礁サンゴと褐虫藻が地球環境に寄与するメカニズムをバイオ、化学、材料科学、シミュレーションの多面的視点からひも解く
- ★加藤明(生命理工学院 生命理工学系 准教授)
- 下嶋美恵(生命理工学院 生命理工学系 准教授)
- 中村隆志(環境・社会理工学院 融合理工学系 准教授)
- 那須聖(環境・社会理工学院 建築学系 准教授)
- 二階堂雅人(生命理工学院 生命理工学系 准教授)
- 秦猛志(生命理工学院 生命理工学系 准教授)
- 林智広(物質理工学院 材料系 准教授)
- 平沢敬(生命理工学院 生命理工学系 准教授)
- 松田知子(生命理工学院 生命理工学系 准教授)
- 八波利恵(生命理工学院 生命理工学系 准教授)
加藤明 准教授
造礁サンゴは褐虫藻と共生しながらサンゴ礁を形成し、「海のゆりかご」として豊かな生態系を支えています。「生命」「環境」をキーワードに多彩な背景を持つ研究者が集まり、これまでにない独自の視点から造礁サンゴと褐虫藻の研究を展開します。サンゴ礁の保全と白化防止に対して新たな視点の創出を試みます。
試行支援
テック・オプティミズムを乗り越える:AI 共存学における人文社会科学的教養
- ★江原慶(リベラルアーツ研究教育院 准教授)
- 河西棟馬(リベラルアーツ研究教育院 講師)
江原慶 准教授
より良き社会のために技術は不可欠ですが、技術だけでは社会は良くなりません。技術と社会を結ぶ理論と思想は、これまでにも豊富に展開されてきました。そうした知の蓄積から学ぶことも、今と未来を生きる私たちの責務です。本研究を通して、技術と社会のさらなる対話を促すプラットフォームを育てていきたいと思います。
化学センサーとライフスタイルデータの機械学習による非侵襲的健康モニタリング
- ★マンゾス・セルゲイ(物質理工学院 応用化学系 准教授)
- 道信剛志(物質理工学院 材料系 教授)
- 早水裕平(物質理工学院 材料系 准教授)
- ◇金蔵孝介(東京医科大学 主任教授)
マンゾス・セルゲイ 准教授
呼気分子を感知するケミカルセンサーのデータとライフスタイルデータを組み合わせることにより、非侵襲・非接触型の健康モニタリングシステムを開発します。これにより、病気の早期診断を実現し、健康で豊かな未来社会を実現できると考えています。
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