像情報工学研究所知的システム部門の長谷川修准教授の研究室による技術が、経済産業省「Innovative Technologies 2013」に採択されました。
採択技術名:人工脳SOINN
Innovative Technologiesは、コンテンツ技術のさらなる活用と発展を促進することを目的とした、コンテンツ技術イノベーション促進事業の一環として、優れたコンテンツ技術を採択します。
人工脳SOINNは、未知の知識に直面した時、インターネット上の画像や動画、音情報を自ら検索し、それを学習していくという自己増殖型ニューラルネットワークを持っており、日々更新、蓄積されていくビックデータの解析手法として様々な分野への応用が期待される、との評価を受けました。
今回の採択を受けて、長谷川准教授は次のようにコメントしています。
「このたび、長谷川修研究室にて約10年前から研究開発を進めて参りましたIT技術、SOINN (Self-organizing Incremental Neural Networks) に対し、経済産業省から "Innovative Technologies 2013" の表彰を頂けることになり、非常に光栄かつ嬉しく存じております。
SOINN は、これまで長谷川修研に在籍した歴代の学生さんとの共同研究の成果であり、彼ら、彼女らとの共同受賞と考えております。日ごろから研究・教育活動をご支援下さるご関係の皆様には、深く感謝申し上げます。
近年、日々蓄積される膨大なビッグデータの解析が、世界的に大きな課題となっています。また急速に少子高齢化が進む我が国では、家庭や街中で労働力として活動する知能ロボットの開発も喫緊の課題です。SOINN は、そうした重要課題の解決に直接的に貢献する手法であり、このたびの受賞は、その点を評価頂けたものと考えております。
SOINN の設計思想は「何もしないで、何でもやる」であり、そのアルゴリズムからは極限まで無駄を削ぎ落としています。そのため、当初はその意味や爆発的な可能性が理解されませんでした。日本人が Editor の論文誌に SOINN の論文を投稿したところ、査読にも回されず、「こんな論文を投稿してくるな」と"指導"されたこともあります。そんなとき、学生さんのショックや落胆は大きなもので、それでも SOINN の研究を進めるには強い信念が必要でした。
一方海外では、SOINNは数年前から高く評価を頂いており、米国 NSF の視察団が長谷川修研まで来られたほか、学会での招待講演のご依頼や、海外メディアからの取材も多く頂いております。
SOINN は現在、第2世代の段階にありますが、第3世代のアルゴリズムを構築中です。これからも研究室の皆さんと力を合わせ、この東工大発、日本発の独自技術の研究開発を積極的に推進し、広く社会に貢献して参りたいと考えております。」
■関連リンク
■経済産業省 | 我が国の優れたコンテンツ技術を発掘・評価する"Innovative Technologies2013"の採択技術を決定しました
■「デジタルコンテンツEXPO2013」(全ての採択技術は10月24日から日本科学未来館にて行われるにおいて展示されます。)
■日本科学未来館 | 人工脳SOINN 東京工業大学 長谷川修研究室