東京工業大学は2019年4月、データサイエンスと人工知能(AI)に関するトップレベルの研究のハブとして、情報理工学院を中心に「社会的課題解決型データサイエンス・AI研究推進体(DSAI)」を設立しました。全学的な横断組織で先端研究に取り組む「イノベーション研究推進体」(2019年4月現在、8推進体が活動中)の新しい組織です。多くの教員が協力し、産業界とも連携しながら、データサイエンスとAIについて多面的なアプローチで社会的課題の解決を目指します。
この研究推進体設立に伴い、キックオフシンポジウムを6月18日に東工大大岡山キャンパス大岡山西8号館で開催しました。学内外から約130名が出席し、データサイエンスとAI研究の最先端の動向を話し合いました。
第1部は、益一哉学長、渡辺治理事・副学長(研究担当)、情報理工学院の横田治夫学院長のあいさつに続き、「計算の進化と科学・工学」というタイトルで株式会社Preferred Networks(プリファードネットワークス)の丸山宏フェローが基調講演を行いました。
第2部の「本学のデータサイエンス・AIの研究事例」に関する研究発表セッションでは、情報理工学院 情報工学系の村田剛志准教授が「深層学習による桜島噴火予測」について、情報理工学院 情報工学系の小野功准教授が「進化計算によるブラックボックス最適化」について、情報理工学院 情報工学系の下坂正倫准教授が「時空間ビックデータを用いた街の異常混雑予測」についてそれぞれ講演を行いました。
左から上から情報工学系の下坂准教授、小野准教授、村田准教授
さらに、第3部は「日本におけるデータサイエンス・AIの未来」をテーマにパネルディスカッションを開きました。パネリストとして丸山氏、国立情報学研究所の喜連川優所長、産業技術総合研究所人工知能研究センターの麻生英樹副センター長、理化学研究所革新知能統合研究センターの杉山将センター長、統計数理研究所 統計的機械学習研究センターの福水健次センター長が参加し、活発な討論が繰り広げられました。
その後、百年記念館に場所を移し、ポスターセッション及び情報交換会を開きました。若手教員や大学院生が最新の研究成果のポスター発表を行い、来場者と熱心に議論しました。
社会的課題解決型データサイエンス・AI研究推進体の研究分野
基盤的研究の推進とともに、外部資金の獲得、産学連携および大型プロジェクト等の活動拠点の形成、関連する分野の人材育成に取り組みます。
対象分野は「データサイエンス」「数理、統計的モデリング」「探索・最適化(量子アニーリング等を含む)」「人工知能、機械学習」「次世代データ統合、ヘテロ情報統合」「ビッグデータ解析、可視化」「セキュリティ、プライバシー」「情報倫理、ポリシー」「研究成果の技術移転等を通じた社会実装」の9分野です。研究分担者として情報理工学院など7学院・研究院の教員42名が所属しています。
英語名は「Data science & artificial intelligence research group for solving socially important problems」、略称はDSAIです。
イノベーション研究推進体とは
国際的研究拠点の形成基盤となるように、部局の組織を越えて個別に実施している研究分野をグループ化し、全学的な横断組織として設置される本学独自の研究組織です。設置期間は原則として5年以内で、2002年に最初の研究推進体が設置されて以降、多くの推進体が活動してきました。中には本学の共通研究センターとして発展したり、外部資金を獲得するなど、研究の核として機能しています。
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