大学院生命理工学研究科の鈴木崇之准教授と大学院総合理工学研究科の中辻寛准教授に、第54回(平成25年度)東レ科学技術研究助成が決定しました。
東レ科学技術研究助成は、公益財団法人東レ科学振興会による科学技術の基礎的、萌芽的研究を行っている若手研究者への資金援助です。国内の研究機関において理学・工学・農学・薬学・医学(除・臨床医学)の分野で自らのアイディアで萌芽的研究に従事し、今後の研究の成果が科学技術の進歩、発展に貢献するところが大きいと考えられる若手研究者に研究助成金が贈呈されます。
贈呈式は3月18日、東京・丸の内の日本工業倶楽部で行われます。
推薦者 |
研究題目 |
代表研究者 |
助成金額(円) |
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日本遺伝学会 |
中枢シナプスの可塑性を制御する分子病理メカニズムの解明 |
大学院生命理工学研究科 准教授 鈴木 崇之 |
10,000,000 |
研究概要
神経と神経をつなぐシナプスと呼ばれる構造が可塑的に変化することにより、我々は経験依存的に行動を変化させることが出来る。このシナプス可塑性の異常が精神疾患の原因になるとも言われている。本研究では、ショウジョウバエ視神経の中枢シナプスを使って、可塑性を制御する分子を網羅的に同定し、生体内で機能解析を行い、シナプス可塑性の分子メカニズムを解明する。
助成決定に対し、鈴木准教授は以下のようにコメントしています。
ショウジョウバエの分子遺伝学は原因遺伝子を同定し、さらに生体内で解析するには、パワフルなツールです。我々が今やるべきだと思っていることを評価していただき、さらには助成していただき、大変有難く感じております。非常に優秀な東工大生命理工の学生・院生たちと共に、生命科学の発展に貢献したいと、心新たに考えております。
推薦者 |
研究題目 |
代表研究者 |
助成金額(円) |
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日本物理学会 |
銀表面を用いたシリセン膜の作製と2次元電子構造の研究 |
大学院総合理工学研究科 准教授 中辻 寛 |
12,000,000 |
研究概要
"シリセン"はシリコン原子が蜂の巣格子状に結合した単原子層シートで、次世代エレクトロニクスデバイスへの応用が期待されている"グラフェン"の炭素原子を、シリコン原子で置き換えたものです。スピン軌道相互作用が大きいためにグラフェン以上に多彩な電子物性が期待され、現行のシリコンデバイスとの整合性も良いので、理論計算による物性予測が盛んに行われていますが、実験的に実現する試みは、まだ始まったばかりです。本研究は、単結晶銀を基板としてシリコンを蒸着し、基板との相互作用をうまく利用することでシリセンを作製し、その原子構造と電子バンド構造を詳しく調べることを目標としています。
助成決定に対し、中辻准教授は以下のようにコメントしています。
このような助成をいただけることとなり大変ありがたく感じております。次はこの研究の成果で東工大ニュースに取り上げていただけるよう、頑張ります。