10月22日、蔵前工業会(東工大同窓会)主催、東工大ならびに地球生命研究所(以下、ELSI)共催で、第35回蔵前科学技術セミナーを開催しました。今回は「地球と生命の謎 ~生命の起源はどこまでわかったのか? 宇宙における生命の存在確率は?~」をテーマに、東工大蔵前会館くらまえホールにて行われ、240名を超える参加者が集まりました。
三島良直学長の開会挨拶に続いて、「地球と生命の起源は何か」という人類の根源的な問いに対して、ELSIの3名の研究者が地球と生命に関する理解を深める講演を行いました。参加者は大いに知的好奇心を刺激され、本セミナーは盛況のうちに終了しました。
初めに井田茂教授から、ELSIがどのような研究をしているかについての説明があり、それに続いて、「系外惑星 ― 宇宙における生命」をテーマに、太陽系の外の惑星についての研究の歴史を振り返りながら、地球外生命に関する研究と議論の変遷について講演を行いました。
次に、地球ウイルス学を専門とする望月智弘研究員から「熱湯の中の微生物・ウイルスから探る生命の起源と進化」をテーマに、極限環境に生息する菌ならびにそれらに感染するウイルスに関する研究を通して、地球生命の起源や進化、さらには地球外生命体が存在する可能性などについての議論が紹介されました。
最後に惑星科学を専門とする黒川宏之日本学術振興会特別研究員から「生命を宿す惑星の条件」をテーマに、生命はどのようにして誕生したのか、地球以外の星に生命は存在するのかという「地球と生命の謎」について、生命を宿す場である惑星の科学という観点から最新の知見が紹介されました。
本セミナーの参加者は、科学への知的好奇心が旺盛な東工大OB・OGが多数を占め、各講演の終わりには活発な質問が登壇者に投げかけられました。また講演内容への関心が入り口となって、それらの研究活動を行っているELSIという研究組織にも注目が集まり、ブースに設置されたELSIの広報物を多くの方が手に取ってくださいました。
各分野でグローバルに活躍する講演者が日本語で発表する機会は意外と少ないため、今回の講演は参加者にとっても理解しやすく、最新の研究内容に触れる良い機会となりました。