要点
- 2013年4月27日に過去23年間で最も強いガンマ線バーストを観測
- ガンマ線バーストとしては"近所"の38億光年の距離で起きたにもかかわらず、その性質は遠方、宇宙初期の「モンスター」と変わらない
- 従来からの標準的なガンマ線放射モデルに疑問を投げかける
概要
東京工業大学など日本の研究グループを含む国際共同観測チームは、観測史上最大級の「モンスター」ガンマ線バースト「GRB 130427A」をとらえることに成功した。詳しいデータ解析の結果、今回のバーストは宇宙年齢100億年という現在とほぼ同じ宇宙環境で発生したにもかかわらず、宇宙初期に発生する普通のバーストと同じ「モンスター」としての性質をもっていることが分かった。今までで最も近傍で発生したバーストの場合は爆発エネルギーが著しく小さく、別種の現象の可能性が高かったが、地球に近いからこそ得られた「普通のモンスター」の高品質のデータによって、従来のガンマ線放射機構の理論は再考を迫られることになった。
ガンマ線バーストは、太陽の数十倍の質量をもつ恒星が一生の最後に起こす大爆発で、平均的には宇宙年齢30億年の宇宙初期、すなわち100億光年を超える遠方で発生する。今年4月27日に発生したGRB 130427A はもともと大きな爆発エネルギーをもつガンマ線バーストだったが、38億光年という"近所"で発生したためにとびきり明るく観測された。
この研究成果は11月22日発行の米科学誌「サイエンス」に掲載される。
原論文情報
「GRB 130427A: a Nearby Ordinary Monster」 Maselli et al. Science Vol. 342, #6161
日本人の共著者
東工大 |
河合誠之(理研客員主幹研究員を併任)、斎藤嘉彦、谷津陽一、吉井健敏 |
理研 |
芹野素子 |
国立天文台 |
黒田大介、花山秀和 |
青山学院大学 |
坂本貴紀 |
関連リンク
お問い合わせ先
大学院理工学研究科基礎物理学専攻 教授 河合誠之
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理化学研究所グローバル研究クラスタ
宇宙観測実験連携研究グループ MAXIチーム 研究員 芹野 素子
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GRB 130427Aの発生した天域を星座図上に示す