東京工業大学科学技術創成研究院の本村真人教授(AIコンピューティング研究ユニット主宰)が、電気電子工学と情報工学分野では世界最大で最も権威がある学会IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers、アイ・トリプル・イー)のフェローの称号を授与されました。2月22日、半導体集積回路の最先端技術が披露される国際学会(ISSCC、Internal Solid-State Circuits Conference)のオンライン・オープニングセッションで、授与式が執り行われました。3月10日には、IEEE東京支部の総会において表彰されました。
IEEEフェロー
IEEEは、人類社会の有益な技術革新に貢献する専門家組織であり、世界160ヵ国40万人を超える会員が活動しています。フェローはその会員の中で最高級のグレードで、上級(シニア)会員歴が連続5年以上、IEEEの指定する分野で非常に優れた資質と経験を有し、その分野において著しい貢献をした人物に授与されます。毎年、会員数の0.1%しか認定されず、IEEE本部に設けられたフェロー審査委員会のメンバーが厳格な審査を行って昇格を決める業績表彰です。
授与理由
メモリー・ロジック集積化による再構成ハードウェア技術の研究
本村真人教授のコメント
この度IEEEより栄誉あるIEEEフェローの称号を頂き、大変光栄に存じます。これは、長年私が取り組んできた再構成(リコンフィギュラブル)ハードウェア技術の研究が国際的に評価されたものです。
1990年代に、NECにおいて、メモリとロジックを1つのLSI(大規模集積回路)に集積することが可能になった当時の「集積回路の境界条件の変化」に着目したハードウェア・アーキテクチャの研究に取り組みました。その中から、動的にハードウェア構成を切り替えることができる独自の動的再構成プロセッサを考案し、2000年代にはその技術開発・事業開発に取り組み、事業化に成功しました(2011年電子情報通信学会・業績賞受賞)。
2010年代には、NECから北海道大学、そして東京工業大学に移り、構造型情報処理を特徴とするAIコンピューティング向けに再構成ハードウェア・アーキテクチャを深化させた研究を進めてきました。いくつかのニューラルネット推論チップや組み合わせ最適化問題を解くためのアニーリング・ソルバチップを、ISSCC等の最高難度の国際会議で発表してきています。今回のIEEEフェロー称号授与は、これらの一連の研究成果に対するものです。
これまで、企業および大学、国内および国外の多くの優れた研究者・技術者の皆様と共に研究や事業化を進めてきたからこそ、このような評価を頂くことが出来たと考えております。この場をお借りして、これまでご指導・ご支援くださった共同研究者、諸先輩、先生方、NECや大学での仲間たち、および研究生活を支えてくれた家族に深く感謝いたします。
今後もAIコンピューティング分野の研究に邁進し、構造型情報処理構想・再構成ハードウェア技術に基づく新たなアーキテクチャ技術を打ち立てて行く所存です。
関連リンク
本村真人教授
- 本村真人 Masato Motomura|研究者検索システム 東京工業大学STARサーチ
- AIコンピューティング 研究ユニット(本村・劉研究室)
- 科学技術創成研究院(IIR)
- 工学院 情報通信系
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