令和3年(2021年)春の叙勲において、長年に渡る教育研究の功労に対し、相澤益男名誉教授が瑞宝重光章を、今田高俊名誉教授と廣瀬茂男名誉教授が瑞宝中綬章を受章しました。
相澤益男名誉教授 瑞宝重光章
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これも一重に皆様のご支援のお陰と感謝しております。20世紀後半の30年余、大学院時代の恩師、水口純先生、鈴木周一先生の教えを踏まえ、生物に学ぶという発想で異分野融合に挑み、生物電気化学やバイオエレクトロニクスといった新領域の国際的なパイオニアとして、研究・教育一筋に邁進しました。2001年には大きな転機が訪れ学長に就任。学長としてのビジョンを明確にした上で、副学長時代に策定した「東京工業大学将来構想」に基づき、「世界最高の理工系総合大学」を目標に掲げ、国立大学協会長の重責も務めつつ、国立大学法人化の真っ只中における様々な改革に取り組み、グローバル時代を拓く大学進化を牽引することに全力を尽くしました。拙著「大学進化論—世界に開かれた東京工業大学の改革—」は、学長時代における奮戦記の総括です。2007年には総合科学技術会議議員に任命され、科学技術立国の舵取りに関わるようになり、第4期科学技術基本計画の策定、最先端研究開発支援プログラム(FIRST)の創設などを主導いたしました。これからも明るい未来づくりに些かでも貢献していきたいと願っています。
略歴
1966年3月 |
横浜国立大学 工学部 電気化学科 卒業 |
---|---|
1971年3月 |
東京工業大学 大学院理工学研究科 化学工学専攻 修了(工学博士) |
1971年4月 |
東京工業大学 資源化学研究所生物資源部門 助手 |
1974年3月 |
米国リーハイ大学博士研究員(~1975年5月) |
1980年4月 |
筑波大学 物質工学系 助教授(~1986年3月) |
1985年4月 |
東京工業大学 工学部 助教授(併任) |
1986年10月 |
東京工業大学 工学部 教授 |
1990年6月 |
東京工業大学 生命工学部 教授 |
1994年4月 |
東京工業大学 生命理工学部長、大学院生命理工学研究科長(併任、~1996年3月) |
1996年4月 |
東京工業大学 生命理工学部生物工学科長(併任、~1997年3月) |
1998年4月 |
東京工業大学 生命理工学部長、大学院生命理工学研究科長(併任、~2000年3月) |
1999年4月 |
東京工業大学 大学院生命理工学研究科 教授 |
2000年4月 |
東京工業大学 副学長(併任、~2001年10月) |
2000年4月 |
東京工業大学 広報室長 |
2000年4月 |
九州工業大学 大学院生命工学研究科 教授(併任、~2001年10月) |
2001年2月 |
電気化学会 会長 |
2001年10月 |
東京工業大学 学長 |
2002年3月 |
日本化学会 副会長 |
2003年7月 |
日本学術会議 会員(~2005年7月) |
2004年4月 |
国立大学法人東京工業大学 学長 |
2005年3月 |
国立大学協会 会長(~2007年4月) |
2007年1月 |
内閣府 総合科学技術会議 議員(非常勤)(~2007年10月) |
2007年10月 |
東京工業大学 任期満了により退職 |
2007年10月 |
東京工業大学 名誉教授 |
2007年10月 |
内閣府 総合科学技術会議 議員(常勤)(~2013年1月) |
2008年4月 |
International Society for Bioluminescence and Chemiluminescence会長 |
2013年1月 |
国立研究開発法人科学技術振興機構 顧問(~現在) |
2016年6月 |
公益社団法人科学技術国際交流センター 会長(~現在) |
主な受賞・受章歴
1996年4月 |
International Chemical Sensor Award |
---|---|
1997年3月 |
日本化学会賞 |
2002年10月 |
Sensor Division Outstanding Achievement Award, The Electrochemical Society |
2003年4月 |
電気化学会賞 |
2005年11月 |
紫綬褒章 |
2021年4月 |
瑞宝重光章 |
今田高俊名誉教授 瑞宝中綬章
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私は文転した社会学者である。将来、分子生物学者になることを夢見て東大理科II類に入学した。しかし、紛争を機に文転を決意し社会学科に進学した。研究テーマは社会システム論と社会階層論である。前者では環境変化のあるなしにかかわらず自力で自己を変える自己組織性を、後者では地位非一貫性を基礎にした不平等の構造をテーマとした。このテーマ、特に自己組織性は私のライフワークである。
1979年、東工大に一般教育担当の助教授として赴任し、じっくりと研究を進めることができたことは有意義であった。およそ7年かけて処女作『自己組織性—社会理論の復活』を書き下ろし、旧システム科学専攻で学位を得、米国に一年間遊学して研究者人生を満喫できた。
帰国してからは、「教育の大綱化」と「大学院重点化」への対応で、人文社会群の先生方と共に奮闘努力を重ねたことが、懐かしい思い出である。私の定年退職後の2016年には、さらに教育研究組織の改革により、東工大のイメージ刷新がなされたようだが、旧人文社会群の遺伝子は進化の中でしたたかに生き残っていると信じている。
東工大に赴任して以来、私の研究を陰に陽に支えて頂いた諸先生方、かつての同士及び研究室のメンバーに心からお礼申し上げたい。
略歴
1972年3月 |
東京大学 文学部 社会学科 卒業 |
---|---|
1975年11月 |
東京大学 大学院社会学研究科 社会学専攻 博士後期課程 中途退学 |
1975年11月 |
東京大学 文学部 助手 |
1979年4月 |
東京工業大学 工学部 助教授 |
1986年9月 |
University of Wisconsin-Madison, Honorary Fellow(~1997年9月) |
1986年9月 |
学術博士 東京工業大学 |
1988年3月 |
東京工業大学 工学部 教授 |
1991年4月 |
放送大学 客員教授(兼務、~1996年3月) |
1996年5月 |
東京工業大学 大学院社会理工学研究科 教授 |
2003年4月 |
東京工業大学 評議員(兼務) |
2009年4月 |
東京工業大学 大学院社会理工学研究科長(兼務) |
2014年3月 |
東京工業大学 定年により退職 |
2014年4月 |
東京工業大学 名誉教授 |
2014年8月 |
情報・システム研究機構 統計数理研究所 客員教授(~現在) |
主な受賞・受章歴
1980年 |
日本労働協会図書優秀賞(共同受賞) |
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1984年 |
テレコム社会科学賞(NTT) |
1986年 |
サントリー学芸賞 |
1988年 |
組織学会高宮賞 |
2008年 |
紫綬褒章 |
2015年 |
日本NPO学会優秀賞(共同受賞) |
2021年 |
瑞宝中綬章 |
廣瀬茂男名誉教授 瑞宝中綬章
コメント
私の学位論文は、ヘビは足がないのになぜ前に進めるのかという疑問を解くための運動解析と、それを検証するシマヘビを用いた動物実験、そしてヘビと同じ原理で進む世界初のヘビ型ロボットの開発でした。その後水陸両用などの多種類のヘビ型ロボットや、4足歩行型ロボット、そして車輪型やクローラ型ロボットなど総計100台以上のロボットを東工大奉職中に開発しました。
2013年以降は、留学生と作った(株)ハイボットでインフラ点検用ロボット開発を行い、2020年には梅谷陽二助教授(当時、工学部長も歴任され2015年瑞宝中綬章受賞)の研究室仲間であった白山工業(株)の吉田稔社長の尽力で極限環境ロボット(HERO)研究所を設立し、福島第一原発の廃炉のために使用する多様なロボット群の開発を進めています。
また、ロボット工学とは「目的達成学」であると大学時代から主張してきましたが、現在のコロナ禍という極限環境を乗り越える手段として、不織布マスクをちゃんと着けていても呼吸が楽でメガネが曇らないマスク補助具という意外なデバイスの開発などもしています。
これからも、東工大時代に学生たちと一緒に楽しんだロボット開発の方法論と自由な発想で社会に貢献していきたいと考えています。
略歴
1971年3月 |
横浜国立大学 工学部 機械工学科 卒業 |
---|---|
1976年3月 |
東京工業大学 大学院理工学研究科 制御工学専攻 修了(工学博士) |
1976年4月 |
東京工業大学 工学部 機械物理工学科 助手 |
1979年6月 |
東京工業大学 工学部 機械物理工学科 助教授 |
1992年4月 |
東京工業大学 工学部 機械物理工学科 教授 |
1997年4月 |
東京工業大学 工学部 機械宇宙学科長(併任、~1998年3月) |
2000年4月 |
東京工業大学 大学院理工学研究科 教授 |
2004年4月 |
東京工業大学 工学部 機械宇宙学科長(兼務、~2005年3月) |
2008年4月 |
東京工業大学 スーパーメカノシステム創造開発センター長(兼務、~2013年3月) |
2011年3月 |
東京工業大学 任期満了により退職 |
2011年4月 |
東京工業大学 大学院理工学研究科 卓越教授 |
2013年3月 |
東京工業大学 雇用期間満了により退職 |
2013年4月 |
東京工業大学 名誉教授 |
主な受賞・受章歴
1999年 |
第1回IEEE Pioneer in Robotics and Automation Award |
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2004年 |
第1回IFToMM Award of Merit |
2006年 |
紫綬褒章 |
2009年 |
Joseph F. Engelberger Robotics Award |
2014年 |
IEEE Robotics and Automation Award |
2017年 |
IEEE Inaba Technical Award for Innovation Leading to Production |
2021年 |
瑞宝中綬章 |
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