ポイント
- 走査型トンネル顕微鏡を用いて分子軌道間の共鳴トンネル現象を観察
- 分子間の共鳴トンネル現象の確認は世界初
- 分子軌道を用いた分子間共鳴トンネルダイオードの実現に道
概要
東京工業大学応用セラミックス研究所の真島豊教授と京都大学理学系研究科の大須賀篤弘教授は、分子から分子への共鳴トンネル現象を世界で初めて確認した。走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて、STM探針に分子が付着していない状態と付着している状態を判別し、基板上の分子からSTM探針に付着している分子へのトンネル過程が共鳴トンネル現象により説明できることを明らかにした。この成果は分子間共鳴トンネルダイオードを発信器などへ応用する道を開くものである。
用いた分子はサブポルフィリンと呼ばれる三角形構造のコンパクトなπ共役系分子であり、最高非占有軌道(HOMO)とHOMO-1のそれぞれのエネルギー準位が孤立している。これにより、HOMOとHOMO-1の2つの軌道に対応した2つの負性微分抵抗現象を観察した。
この成果は、半導体量子井戸構造の量子化準位を利用してきた共鳴トンネルダイオードが、分子軌道のエネルギー準位を用いても実現できることを示唆している。分子構造には一意性があることから、分子構造ならびに素子構造を最適化することにより素子特性の安定性を向上することが期待できる。
この研究は、サブポルフィリンを京大で合成し、分子間共鳴トンネルダイオード特性を東工大が確認した。米国の科学誌「ジャーナルオブアメリカンケミカルソサイエティ」9月号に掲載される。
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