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旋回乱流予混合火炎の熱音響不安定性解明に向けた進展 ―スーパーコンピューターによる直接数値計算の貢献―

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東京工業大学 工学院 機械系の店橋(たなはし)護教授、志村祐康准教授、青木虹造博士課程院生らは、ガスタービン燃焼器やロケットエンジンで問題となる旋回乱流予混合火炎[用語1]熱音響[用語2]不安定性の原因として、音響モードまたは変動エネルギーと乱流渦運動とが密接に関係していることを明らかにした。スーパーコンピューターを利用した大規模直接数値計算[用語3]により実現した。

熱音響不安定性に起因する振動燃焼は、高効率・低環境負荷または高出力の次世代ガスタービンエンジンやロケットエンジンを製作する上で非常に大きな問題となる。この不安定性により燃焼器が破壊されることもあるからだ。この現象に関する研究は、1800年代末頃から精力的に取り組まれてきたが、いまだに確固たる対応策は確立されていない。

燃焼不安定性への対応策、制御手法の実現のための新たな知見が、近年の数値計算技術やレーザー計測技術の進展によって獲得できるようになった。今回の成果は、旋回型燃焼器内に形成される水素・空気旋回乱流予混合火炎の高性能数値計算、特に直接数値計算を用いて得られたものである。

ガスタービン燃焼の熱音響不安定性における音響モードまたは変動エネルギーと乱流渦運動とが密接に関係することが明らかにされたことにより、これらの変動を低減することが振動燃焼の抑制に重要であることが示唆された。今回の研究で得られた成果は、次世代エネルギー変換器や推進システムの構築に大きく貢献することが期待される。

矩形燃焼器内に形成された旋回乱流予混合火炎の圧力のDMDモード(124kHz)
矩形燃焼器内に形成された旋回乱流予混合火炎の熱発生率のDMDモード(124kHz)

図1. 矩形燃焼器内に形成された旋回乱流予混合火炎の圧力(左)及び熱発生率(右)のDMDモード(124kHz)

図中の赤と青はそれぞれ正負の値を示し、黒は絶対値が最大の位置、白は値が零となる位置を示している。

用語説明

[用語1] 旋回乱流予混合火炎 : 燃料と酸化剤(通常空気)の予混合気を旋回流で燃焼室に流入させた際に形成される乱流火炎。既燃ガスの再循環流により保炎性が高い。

[用語2] 熱音響(熱音響現象) : 燃焼や伝熱などの熱的現象と圧力波(音波)が干渉する現象。

[用語3] 直接数値計算 : 観察対象とする物理現象を支配する方程式をそのまま解くシミュレーション。現象の一番小さなスケールから大きなスケールまで十分捉えられる空間解像度を以て解くため、計算コストが莫大。

論文情報

掲載誌 :
Proceedings of the Combustion Institute 35, pp.3209-3217 (2015).
論文タイトル :
Short- and Long-term Dynamic Modes of Turbulent Swirling Premixed Flame in a Cuboid Combustor
著者 :
Kozo Aoki, Masayasu Shimura, Shinichi Ogawa, Naoya Fukushima, Yoshitsugu Naka, Yuzuru Nada, Mamoru Tanahashi and Toshio Miyauchi
所属 :
Department of Mechanical Engineering, Tokyo Institute of Technology
DOI :
掲載誌 :
Proceedings of the Combustion Institute 36, pp.3809–3816 (2017)
論文タイトル :
Disturbance Energy Budget of Turbulent Swirling Premixed Flame in a Cuboid Combustor
著者 :
Kozo Aoki, Masayasu Shimura, Yoshitsugu Naka, and Mamoru Tanahashi
所属 :
Department of Mechanical Engineering, Tokyo Institute of Technology
DOI :

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お問い合わせ先

工学院 機械系
准教授 志村祐康

E-mail : shimura.m.aa@m.titech.ac.jp
Tel : 03-5734-3183 / Fax : 03-5734-3183


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