10月24日に、2010年ノーベル物理学賞受賞者、シンガポール国立大学のコンスタンチン・ノボセロフ(Konstantin Novoselov)教授(英国マンチェスター大学教授/非常勤)が東京工業大学を訪問し、「未来に向けた材料(Materials for the future)」というタイトルで特別講演会が行われました。
ノボセロフ氏のノーベル賞受賞対象は、グラフェンという炭素原子の厚さがわずか原子一層の二次元の平面シートにおいて、相対論的な量子力学に支配される現象を世界で初めて明らかにした研究です。講演ではグラフェンの紹介にはじまり、二次元物質が我々の身近でどのように生かされているか、さらに人類の課題を解決していく上でどのような研究の発展が期待されているかが議論されました。それに対して量子コンピューターとの関連などの質問が出て、活発な討論が行われました。東工大の学士課程学生、大学院生を中心に、オンラインも含め200人近い聴衆が聴講をしました。
講演後、東工大の未来の研究を担う若手研究者と学生がノボセロフ氏と少人数で交流しました。まず若手研究者から、二次元物質に関する東工大で行われている研究が紹介されました。その後、学生も加わり、ノボセロフ氏に直接質問する機会を設けました。研究者としてのキャリアや、研究を行っていく上での困難の克服方法などに関して率直な質問があり、ノボセロフ氏からのそれらに対する真摯な回答に、参加者は大いに刺激を受けました。
本イベントはノーベル・プライズ・ダイアログ東京2022の一環として行われ、ノーベル・プライズ・アウトリーチAB(Nobel Prize Outreach AB)が日本学術振興会と協力して立案し、東京工業大学理学院 物理学系と共催で行われました。