東京工業大学 物質理工学院 材料系の渡邉学助教が、公益社団法人日本金属学会の第32回「日本金属学会奨励賞」を受賞しました。日本金属学会によると、奨励賞は「金属・材料工学並びに関連分野において優れた業績を挙げつつある将来性豊かな研究者」に授与されるものです。9月21日の日本金属学会秋期講演大会で贈呈式が行われました。
受賞テーマと理由
日本金属学会が発表した受賞テーマと理由は次の通りです。
熱力学過剰量に基づいた金属溶液論に関する研究
受賞者は、熱物性と熱力学関数を組み合わせ、革新的な金属溶液モデルを提唱するなど、金属融体物性分野において新進気鋭の研究者である。受賞者は、従来溶液モデルでは溶融金属の構造の反映には不十分であるとし、原子間相互作用と原子配置を考慮できる過剰ギブズエネルギーと過剰体積の相関関係に基づく新たな金属溶液モデルを構築した。現在は、溶融金属の電子状態が熱物性および熱力学関数を制御していると考え、溶融金属の電子状態解明を目指し研究を行っており、今後の融体研究分野の発展が期待される。
渡邉学助教のコメント
このたびは、日本金属学会奨励賞を受賞させていただき、大変光栄に存じます。
研究をご指導・ご協力くださる先生方およびその関係者の皆様に心から感謝申し上げます。
受賞題目である「熱力学過剰量に基づいた金属溶液論に関する研究」は、私が学生時代から取り組んでいる研究テーマです。本研究では、従来の溶液論で説明することができない規則―不規則変態を生じる合金系の溶融状態に着目し、過剰熱物性・熱力学関数および遷移金属の電子状態の相関性に基づいた新たな金属溶液モデルを提唱しました。現在は、さらに研究を進め、溶融金属の電子状態のin-situ測定可能とするべく、外部の研究機関との連携を深めながら日々研究を進めています。
このような栄誉ある賞を頂きましたことを心から感謝するとともに、奨励賞の名に恥じぬよう、一層、教育・研究活動に邁進いたします。
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