令和4年(2022年)春の叙勲において、東京工業大学の藤井信生名誉教授が瑞宝中綬章を受章しました。長年にわたる教育と研究への多大な貢献が評価されたものです。
コメント
東京工業大学の優れた研究・教育環境の下で、優秀な研究仲間、学生、事務職員に支えられて、研究・教育に専念できたことが、この栄えある受章に繋がったものと思っています。
研究においては、一貫してアナログ電子回路の解析、設計に携わってきました。電子回路の重要な役割である信号の増幅、変換を担う能動素子は、研究初期の真空管から始まり、トランジスタ、集積回路、大規模集積回路へと発展し、そのすべてに関わることができたことは幸せでした。やがてディジタル技術全盛時代に移り、アナログ技術者は絶滅危惧種とまで揶揄されてきたなか、信号処理の原点はアナログに有りと、頑なにアナログにこだわりました。
授業もアナログ的でした。学生と教師の間にOHP、マイクロホンなどの機器が入ることを嫌い、大声で口角泡を飛ばし、板書に力を入れチョークの粉だらけになり、学生を眠らせない講義に努めました。これが学生による授業評価で高く評価され、第1回東工大教育賞をいただきました。
支えてくださった多くの方々に感謝いたすとともに、今後の東工大の発展を祈っております。
略歴
1966年3月 |
慶応義塾大学 工学部 電気工学科 卒業 |
---|---|
1971年3月 |
東京工業大学 大学院理工学研究科 電子工学専攻 修了(工学博士) |
1971年4月 |
同 工学部 助手 |
1975年10月 |
同 工学部 助教授 |
1988年12月 |
同 工学部 教授 |
1993年4月 |
同 工学部 電子物理工学科長(併任、~1994年3月) |
1998年4月 |
同 理工学国際交流センター長(併任、~2000年3月) |
2000年4月 |
同 大学院理工学研究科 教授 |
2005年10月 |
同 大学院理工学研究科工学系長(兼務、~2007年10月) |
2005年10月 |
同 工学部長(兼務、~2007年10月) |
2006年1月 |
同 ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー長(兼務、~2009年3月) |
2006年1月 |
同 インキュベーションセンター長(兼務、~2008年3月) |
2007年4月 |
同 大学院理工学研究科長(兼務、~同年10月) |
2007年11月 |
同 フロンティア研究センター副センター長(兼務、~2009年3月) |
2009年3月 |
同 定年により退職 |
2009年4月 |
東京工業大学 名誉教授 |
2009年4月 |
同 特命教授、国際室国際連携プランナー教員(~2014年3月) |
主な受賞・受章歴
2002年 |
IEEE Fellow |
---|---|
2002年 |
電子情報通信学会フェロー |
2003年 |
東京工業大学教育賞 |
2003年 |
電気学会 電子・情報・システム部門 特別貢献賞 |
2006年 |
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ 特別功労賞 |
2022年 |
瑞宝中綬章 |
- 令和4年春の叙勲等 | 内閣府
- 藤井信生 Nobuo Fujii|研究者検索システム 東京工業大学STARサーチ
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